低アルコールダークエールの作り方

レシピ 中級
醸造時間: 14日
🍺 ABV: 0.9%
🌾 IBU: 25
醸造日誌低アルコール試作品ローアルコール中級者向け

はじめに

弊社GeekBeerは、低アルコールビールを専門に製造する飲料メーカーです。 今回、低アルコールビールの試作品を醸造しましたので、その詳細なプロセスと結果を共有します。

試作ダークエール

レシピ設計

レシピの方向性です。出来上がり量は4Lぐらいになります。 低アルコールあるあるですが、ボディが薄いという問題がよく言及されると思います。 そのため、重たいビールの代表格であるダークエールをベースに選んでみました。 ビールキットを使用したので、ミネラルの添加とかは行っていません。…たぶんビールキットが最適化されているはず。

- 水:5L
    - ドライホッピングで澱が出ることを考慮して多めに用意。
- ベースモルト:Morgans Dark Ale 250g
    - 自宅にマッシング機材がないため、ビールキットを使用しました。
- ホップ:East Kent Goldings 10g(ドライホッピング用)
- 炭酸ガス:DrinkMateで強制カーボネーションしました。
- 酵母:LA-01 4g

ビールキット

醸造プロセス

仕込み手順はだいたい以下の通りです。

Day 0: 仕込み

  1. 鍋を熱湯消毒(沸騰させて冷ます)
  2. Morgans Dark Ale 250gを温水で溶かす
  3. 水を足して合計5リットルに
  4. 20-25℃まで冷却
  5. LA-01酵母を投入
  6. 清潔な布またはラップで覆う(輪ゴムで固定)
  7. 発酵場所に設置

ホップ測量 煮沸

Day 1-7: 発酵前期

毎日1回様子を見る(覗くだけ、触らない)。 泡が立っているか確認。 表面に膜や変色がないか確認。

Day 8: ドライホッピング

  1. ラップを外す(素早く)
  2. 消毒済みの袋に入れたKent Golding 7-10gを投入
  3. すぐに覆い直す

ドライホッピング

残念ながら今回はドライホッピング2日目にしてカビのような浮遊物が見られたので、予定より早めにドライホッピングを切り上げました。 製品にする場合は、対策が必要ですね。低アルコール醸造にオープンファーメンターは厳しいかもしれません。 とはいえ、今回はホームブリューで自分しか飲まないので、浮遊物を掬って分離して完成としました。

カビっぽい浮遊物

Day 9: ボトリング

空きペットボトルに詰めて、冷蔵庫にいったん保管。 ある程度冷えたら、飲む分だけDrinkMateのボトルに詰めて炭酸注入しました。

カーボネーション

課題と対応

まずは味の感想ですが、…んービールかと言われるとちょっと微妙?な気がする、といった感じです。 けっして不味くはないですが、なんか物足りない。 低アルビールでよく言われるのが、「酸味をつけるとよい」とか「甘みを足すとよい」といったアドバイスです。 場当たり的に、レモン果汁を少し足してみましたが、あまり効果は感じられずでした。 試飲した時のメモは以下の通りです。

  • カビが生えてしまったのでドライホッピングを切り上げ。オープンファーメンターは流石に厳しいかも?
  • 炭酸添加して試飲。んーボディがない…
  • 醤油っぽい後味がある。コーヒーのような気もする。目隠しして飲むとビールとはいえない。
  • 砂糖を入れて飲んでみたら多少はまし。
  • レモン果汁を入れてみてもそこまで改善しない。
  • 味の素は効果なし。
  • 塩は…入れないほうがいい。
  • 焼酎を入れてみたらまさにホッピーという感じ。
  • ホップ味があまり感じられなかった。カビの影響で途中で切り上げた影響か、ドライホッピングが効いてないっぽい。
    • とはいえ、ホップが効いたら美味しくなるかというとそれは微妙。ボディの薄さは解消しないでしょう。

と、課題満載に書いてしまいましたが、実は3日ぐらい経ってから飲んだら、コクが少し出てきてかなり印象が変わった気がします。 これが熟成?なのか、それとも単に慣れただけなのかは不明ですが、もう少し時間を置いてから再度評価してみたいと思います。

まとめ

今回の低アルコールビールの試作醸造は、多くの学びと発見がありました。 低アルコールの弱点である、ボディの薄さは黒ビールを使うことで多少改善されることが分かりました。 一方で、製品化を考えた場合には、カビの発生や味の調整など、解決すべき課題も多く残っています。 今後も改良を重ね、より美味しい低アルコールビールの開発に挑戦していきたいと思います。

低アルコールビールの醸造に興味がある方は、以下の記事も参考にしてみてください。

それでは、楽しい醸造ライフを! 乾杯!